衛星データ(SARデータ)を用いた災害時の被害状況把握に関する研究

図1.研究の流れ

図2.SAR画像

図3.斜面崩壊抽出結果

<2020年度>

大規模災害が発生した際に,二次災害の抑制や応急対応のために早期かつ広域で安全に被害状況を把握することが重要とされています。その手段として,人工衛星によるリモートセンシングが挙げられます。その中でも本研究では,合成開口レーダ(SAR衛星)を主に取り扱っています。
 SAR衛星は,天候や時間帯に影響されず観測できる特性を有しており,災害等の緊急時にも安定的に使用することができます。その一方で,原理上観測できない地形があることや,土砂災害の抽出法によっては判読者による判断の違いがあるといった課題があります。そのため,SARデータの定量的な解析法を提案・検討し,正しく土砂災害箇所を抽出することが必要とされています。
 本研究では,SAR衛星の定期観測データ,災害前後のSARデータを定量的に分析し,土砂災害の発生箇所を定量的に抽出する解析手法の開発を行います。また,観測対象の地形条件や土地被覆また,衛星の観測条件がSAR衛星の観測結果に与える影響について分析し,SARを用いて土砂災害箇所をより正確に抽出する方法を開発しています。

キーワード: 人工衛星 干渉SAR

<2020年度以前>

地震・津波・豪雨等により大規模災害が発生した場合,早期に広域の被害状況を把握することは,人命救助,二次災害の防止,復旧活動において重要になります。この一つの手段として人工衛星によるリモートセンシングが挙げられます。
 本研究では,大規模災害時に緊急観測された衛星情報と平常時の地理空間情報と組み合わせて,被害の解析手法の検討を行うと共に,その解析結果をユーザー(国,地方自治体,民間等)が利活用し易い形で提供する仕組みを構築し実証しています。

キーワード: 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2) 防災・減災