トンネル建設サイクルを考慮した空間情報利活用に関する研究

図1.研究の流れ

図2.地質情報の統合例

図3.変形量の算出結果と過去の情報との統合結果

<2020年度>

国土交通省が推進しているi-Constructionは,調査から維持管理に至るまでの建設生産プロセスにおいて,3次元空間情報を利活用して生産性の向上を目指すものであります。しかし,調査・設計・施工・維持管理の各段階での利活用は増えているものの,実際のトンネル建設の現場で3次元モデルを調査から建設・維持管理まで活用した例はほとんどありません。トンネル建設において,調査,設計,施工,維持管理の各段階で異なる事業者が業務を行っており,それぞれの段階での情報は様々な形式かつ個別に管理されています。このことから,事業者間での円滑な情報共有がなされていないことが課題として挙げられます。また,各段階での情報は帳票や2次元の図面で管理されていることがほとんどであり,3次元空間上での相対的な位置関係が把握しづらく,情報を有効活用できていません。
 本研究では,まず既設トンネルを対象として,過去の情報から維持管理に必要となる情報を抽出し,3次元空間上に統合する手法を検討しています。そしてその統合した情報を,点検情報の管理手法・変状の原因推定等の維持管理時に活用しています。また,既設トンネルに隣接して計画されている新設トンネルの建設の設計や施工への利活用も検討しています。

キーワード: GIS レーザー測量 点群データ 3次元情報 維持管理

<2020年度以前>

近年,高速道路は交通量の増加,供用年数の増加による構造物の劣化が懸念されており,今後蓄積された情報を活用し,損傷箇所に対して補修を行う必要があります。構造物の設計,施工,維持管理に至る各段階で作成される情報は,紙や帳票ベースで個別に保管されており,十分に活用できてない可能性があります。また,帳票や図面は3次元の情報を2次元に変換して管理するものであり,3次元的な空間配置を無視していることから,定量的に評価できていない部分があると考えられます。
 そこで本研究では,高速道路トンネルとのり面を対象としてレーザスキャナ計測を行い,取得した3次元空間情報をもとに維持管理に関する情報を統合しています。さらに,統合した情報を活用した新たな維持管理手法について検討を行います。

キーワード: 高速道路 維持管理 三次元 レーザスキャナ 統合